こんにちわ,五十嵐です.TGIF:金曜日のお楽しみ.今日は私の古くからの知り合いである SF 作家,神林長平さんの作品世界 (通称「神林ワールド」) の一部に触れてみます.
2006/04/11 の日経新聞の一面を読んでいて「
脳は借り物?」という見出しが目に飛び込んできました.「ネットと文明 - 第4部 常識オセロ 1」の見出しです.そこにはこうも書いてあります:「人の知,進化か退化か」
新文明の予兆
- 「知」の基盤の共有.ゼロに近いコストで情報交換
- 情報の加工でつむぎだす価値.物質文明から情報文明へ
- 知識のたらい回しにとどまれば,退廃の危機
このコラムを読んで,神林長平さんの「火星三部作」といわれる作品の二作目,「
帝王の殻」という小説を思い出しました.この小説には
PAB と呼ばれる人間の外部記憶装置が出てきます.PAB とは「パーソナル人工脳 ("Personal Artificial Brain" の略だと思いますが,小説の中では記載がありません)」のことで,人と常に行動を共にし,外部記憶として機能するだけでなく,人格も形成されていくというものです.
小説の中身には触れませんが,私の環境はこの PAB に近い状態になっていると感じています.さすがに人格まではまだまだですけれども,記憶容量の少ない私の脳みそは,PC とインターネットがないと,昔のことも最近のこともろくに覚えていません.
個人情報保護法や情報漏洩防止の関係で,ノート PC を社外に持ち出すのはいろいろとありますが,少なくとも社内では持ち歩く状態.メモ帳代わりというよりもすでに外部記憶として働いています.
ブログを書いていると,日々のことすらブログを見ないと思い出せなかったり,漢字などは顕著に忘れていますね.読めても書けない.わからないことは思い出す前に検索ツールで情報収集.まさしく PAB の世界です.
記憶として使わなくなった脳を「創造」に使えればいいのですが,なかなかそう簡単にいきません.記憶のために使われていた領域は単に使わなくなっただけ.やっぱり退化しているんでしょうか.しかし,ソーシャルブックマークなどの集合知や暗黙知の見える化を考えていると,個々の人間ではなくて人類という大きな知生体が進化しているとも考えられます.
現実が「神林ワールド」化しているなぁと実感するこの頃です.
閑話休題.
この「帝王の殻」という単行本にはちょっとした思い出があります.買いそびれたまま上京することになり,都内でさがしたら既に初版が売ってませんでした.仕方なく二版を買ったのですが,神林さんにその話をしたら「うちにあるよ」というので初版にサインを入れて送ってもらった経緯があります.そういうわけで,私にとっては思い出深い本となりました.
(「五十嵐くんへ」と入っているので,オークションには出せません
コラコラ)
以下に「火星三部作」をリストしておきますので,SF 好きで未読の方は是非読んでみてください.「膚の下」だけまだ文庫本になっていませんが,他の二つは文庫本で入手可能のようです.
- 「あなたの魂に安らぎあれ」 (文庫) ISBN: 4-15-030215-4
- 「帝王の殻」 (文庫) ISBN: 4-15-030524-2
- 「膚の下 (はだえのした)」 (単行本) ISBN: 4-15-208561-4
いずれも「
早川書房」からの出版です.
ちなみに,仮想現実空間をテーマにした連作短編集「小指の先の天使」(
単行本,ISBN: 4-15-208476-6) (
文庫本,ISBN: 4-15-030841-1) も併せて読むと面白いと思います.
私は早川書房の回し者ではありませんが,神林長平の回し者...かもしれません
ところで,書き出しの「こんにち
わ」は「こんにち
は」じゃないのか,という指摘を口頭でいただいたんですが,これはわざと使っています.どちらかといえば「正しい日本語を使いましょう派」なのですが,ここは敢えて「
わ」の方を使ってます.書き出し部分は,まるちゃんこと丸山満彦さんの
ブログ「まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記」のマネですが,そっくりそのままというのも芸がないので,ここだけちょっと変えているというだけのことです.
コメントがいっぱいあって,やっぱり「
は」だよという人がたくさんいたら変えてもいいかなとは思っていますけど,そんなに見てる人は多くないみたいだし.ま,あんまり深く考えてません.しばらくはこのままで.
# そのうち,「どうも,五十嵐です.」とかに変えるかも.
# 世の中には「こんにちわ」撲滅運動とかいうのもあるそうで...
# 逆に,擁護派というのもあるそうですが...