この掲示板の犯罪予告の話を聞いて思い出したのは,自殺サイトと呼ばれる掲示板の話です.人間社会学を研究されている先生から自殺サイトの問題点と重要性について,お話を伺ったことがあります.
自殺サイトでの書き込みの大半は実行には移されないらしいですが,ふっと実行に至る境界点があるのだそうです.また,「ニセモノ」も当然混じっていて,良いニセモノと悪いニセモノがいるそうです.良いニセモノは自殺に至らないように誘導する人.悪いニセモノは自殺に至るように背中を押す人.心理学の専門家で,良いニセモノをやっている先生も中にはいるそうです.
問題なのは,これらの書き込みが本当かウソかなかなか判断がつかないことと,この掲示板の存在自体が自殺行為に至る雰囲気を増長させている可能性があるということです.一方で,このような掲示板を閉鎖してしまうと,アングラ(アンダーグラウンド)に潜ってしまい,結局,対策も何も出来なくなってしまうため,掲示板の存在が重要になっているということです.
犯罪予告にしても同様で,掲示板があるからこそ自己顕示欲を増長させる一方で,アングラに潜んだり予兆が見えなくなると事前防止策が打てなくなります.
そうした中で,警察の事前対応には現在の制度の中では限界があると聞きます.事件が起こってから対応する従来のからの仕組みの中では,予兆があっても掲示板のログを証拠として強制的には取得できないと言います.この点をめぐって刑法の改正が検討されているようです.
私は法律の専門家ではないので詳しいことはわかりませんが,同じく検討されている「共謀罪」というのも,テロなどの犯罪を事前に防ぐためのものだそうです.ただ,共謀罪捜査に歯止めがないと,いたずら密告という別な弊害も生む可能性もあります.
話が少しそれてしまいました.
ログが強制的に取得できることが周知された場合,結局,匿名の投稿はなくなってしまうかもしれません.そうすると,掲示板を廃止したり,記事を削除したりするのと同じように,アングラの世界に隠れてしまうことが考えられます.ここが難しい問題です.
コンピュータ・フォレンジクスは,すでに犯罪捜査の手法として確立しつつあります.防止という面から,さらに情報技術が関与できるところはないのか.情報セキュリティの一環として,引き続き検討していかなければならないと思っています.
【追記 2005/12/11】
10月にインターネットプロバイダー協会から「ガイドラインを作成した」という報道があったのですね.見落としていました.
このガイドラインでは,自殺予告があったばあいに,どのように情報を扱うかという点について,考え方のガイドが示されています.また,自殺だけでなく,殺人予告についても言及されていました.
殺人予告では,保護される対象が明確ではないなど,自殺予告とは異なり,さらなる慎重な検討が必要とされています.
このテーマは「通信の秘密」という重要な問題をはらんでいます.
IT業界に勤める一人として,会社人としてよりも,私人としても社会に貢献できないかと考える日々です.
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いかちょー (2005-12-06 11:05) | コメント(0)| トラックバック(1)
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