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Value RingとOpen Collaboration Competence Write 梅嶋真樹 masaki27@sfc.keio.ac.jp

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新たな関係性を構築することから生まれる価値を取り込む道具としてのICタグ

1999年にAuto-IDセンターがRFID(日本ではICタグ)を用いた次世代情報インフラの開発設計に着手した頃からRFIDに関しては、様々な用途が産学官で語られてきた。 そうした中で、日本中実証実験及び一部先進企業の取り組みからICタグに限らず、QRコードやバーコードなどを含めた個体識別と情報システムを組合せることにより生まれる「情報とモノの同期化」という事象がアプリケーションを通して利得に変換され提供されることが明確になってきたと言えよう。

幸運なことに筆者は、これまで国内外で数多くの電子タグ実証実験及び企業独自のICタグ導入の取り組みを観察させて頂く機会を頂いている。多種多様な業界であり詳細は各々異なるが、大枠これらの事例を2分類により捉えている。1つは、『自社内業務改善型』である。もう1つは自社を超えた価値極大化を目指す『全体業務改善型』である。

国内において多く見られる事例である『自社内業務改善型』を例にとって示したい。例えば、 加工食品業界では「食品の安全の保障」を目的に電子タグを用いて原材料の投入から完成製品に到るまでの全ての生産履歴を管理するトレーサビリティと呼ばれる機能を持つ情報システムの実装検討が企業単位で進んでいる。

しかし、その検討プロセスにおいて新たな課題が生まれてきている。電子タグ利活用によるメリットがシステムを導入した製造メーカーに限定され、周辺には負の経済性(コスト負担)のみがもたらされるという構図である。特に納入業者には電子タグコスト、電子タグ貼り付けコストの負担が求められ、新たなコスト削減指令に近いことが問題となっているのである。 サプライヤー自身が商品に貼られた電子タグの利活用により新たな価値創造を実現するモデルの構築が必要であるのは言うまでも無い。しかし、悪循環なことに製造メーカー毎に異なるデータフォーマットは、サプライヤーが電子タグを利活用する機会をも奪っているのが現実である。

一方、欧米、特に欧州においては『全体業務改善型』を長期間掛けて実現しようとする動きが主流となってきている。正確に言うと『全体業務改善型』を視野に入れながら『自社業務改善型』を設計しているという表現になる。具体的には、欧州小売大手MetroのRFID戦略においては国際標準の利用、具体的には、EPC標準化タグの利用、パレットに関してはSSCCコードの利用、通い箱に関してはGRAIコードの利用を戦略として策定している。

この場合重要となるのは、数十年前から一貫している戦略方向性である。例えば、RFIDの前に実現したクレートに代表される梱包容器の標準化などはその代表例と言えよう。この梱包容器の標準化は国レベルで行なわれており、欧州における『モノと情報の同期化』に関して大きな貢献と電子タグ導入による効果を得やすい環境にしていると言える。実際、欧州の小売店の店頭では標準化された梱包容器が用いられている。例えば、生鮮野菜に関しては産地から売場まで1つのクレートで流通することが通常のこととなっている。また、流通単位も可能な限り梱包単位を崩すことなく生産現場から売場まで来ることでモノと情報の同期化を非常に低コストで実現させており、日本においては生鮮食品の付加価値創造として捉えられているトレーサビリティが日常のものとして位置づけられる勢いであり、その勢いはモノと情報の同期化-トレーサビリティ-を欧州農産物の世界的競争力の源泉としようとする強い意思を感じさせるものである。

一方、国内に目を転じると「調整に時間が掛かり過ぎる」ことを原因に「全体業務改善」が難しいという議論が多く見られる。自社業務最適型の情報システムの完成度が高い日本においてはいわば当然の結果を言えよう。

筆者は、この日本の強みである『自社内業務改善型』に加えて、『全体業務改善型』志向の導入によりさらに継続的長期成長を実現させる情報システム設計の必要性を強く提起したい。今回のValueRing経営モデル、Open Collaboration Competenceという経営概念を提起することの中でさらにこの新たな構築される関係性を企業価値に変えるという活動を推進していきたいと考えています。今後もこのTyzohコミュニティで継続的な情報発信を行って行こうと考えています。ぜひ皆様がこのコミュニティに参加頂けることを楽しみにしております。

http://dev.tyzoh.jp/

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