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ユビキタス社会のプラットフォームを語る 第2回

國領二郎 × 保科剛 対談

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ユビキタス社会が実践段階に入ったことを受けて、ユビキタス社会に対する考え方自体も変化しつつあります。慶應義塾大学環境情報学部の國領二郎教授と、日本ユニシスの保科剛最高技術責任者の対談の第2回は、今後のユビキタス社会の方向性に迫ります。

技術・技能の伝承に有効

保科  近年、ユビキタス社会に対する考え方自体も変化しつつあります。当初は例えばICタグをバーコードに変わるものとして期待する動きがありました。けれども、様々な研究を重ねるうちに、実はそうではない。要は品質改善活動などの問題解決にどう生かすかであり、適切な技術を組み合わせて、解決方法を提案することが重要だという発想に転換しています。

國領  おっしゃる通りで、おそらく問題解決力が、次のe-Japan戦略の大きなテーマになるでしょう。そして、ユビキタス関連でビジネスとして決定的に大きいのが、改善技術でもあるのです。改善技術は日本のお家芸であり、改善にユビキタス技術が適用されるようになってくると、もう一度、他に追随を許さず、世界をリードできる可能性大です。

保科  すでに、当社では、具体的な動きを展開しています。例えば「体で覚える」職務が多い製造設備関係などでは、個人のスキルに依存するような作業の効率改善に加えて、いわゆる2007年問題に伴うノウハウの継承が急務になっています。そこで、ノウハウの可視化による技術・知見の継承といった分野や、知識不足に起因するコンプライアンス違反などを未然に検知するといった分野などで、ITが支援できるのではないかという提案をしています。

「身体性」が今後の重要なテーマになる

國領  もう1つのキーワードになるのが「身体性」です。おそらく次世代はフィジカルな世界とバーチャルな世界が融合した時に起こる社会現象、社会モデルをきちんと構築することが重要なテーマになります。それを両立するような空間設計が求められると考えています。例えば医療や介護の現場では、様々なイノベーションが起こりつつあります。ただし、単に技術だけに頼るのではダメで、看護士のぬくもりのようなものも大事になると、私は考えています。

 私は最近、電子カルテを研究していますが、当初は、救急の時に、コンピュータでどんどん診断画像が電送されて、救命に役立つケースをイメージしていました。ところが研究を進めてるうちにわかってきたのは、実は電子カルテはバーチャルな空間と人間の行動性というような実在の世界の融合した世界で役立つのではないかということです。

 医師は多忙なため、看護士とのコミュニケーションがスムーズでないこともあると聞きます。けれども、電子カルテで記録が残っていると、看護士に医師がなぜこういう治療を行っているかが理解できます。すると、看護士と患者のコミュニケーションがスムーズになり、さらに看護士が医師に的確なフィードバックをすることが可能になります。本当に救急の時は電話で怒鳴り合う方が早い。それよりも、慢性疾患の患者の様子、例えば今日は汗をかいていたとか、床擦れしていたとか、普段だと見逃してしまうような状況を医師に知らせるために、電子カルテが有効なのです。リアルタイムで医師に報告したのでは、忙しいから後でということになるでしょうが、電子カルテがあれば、余裕のある時間に見ることができ、患者の状態がきちんと把握できるわけです。

保科  医者、看護士、患者間の意思の疎通があまりスムーズでないケースがあるということでしたが、メーカーでも、製造部門、営業部門、顧客間の情報交換がうまく行えていない場合が多々あります。顧客の声がきちんとフィードバックされていないといった問題もよく起こります。ですから、医療分野の実験、ビジネスモデルの成果は、一般企業にも活用できる気がします。逆に、一般企業における実験が医療分野に活用できる面もあるでしょう。

國領  何をやるとどう改善するがユビキタスで見えてきたわけです。

保科  'モノ'の識別、'コト'の識別、'ヒト'の識別で現場が見えてくる。これこそがユビキタス社会の本質ですね。


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